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それが面白い。獰猛なモンスターを相手にするよりよっぽど楽しい。
毒の息をかいくぐり、俺の体に鋼を打ち込もうとした戦士も少なくない。挑みかかってくるだけあってなかなかに小賢しい。だが……それがよい。
人間は人間でもそのつど、手段が違う。槍を構えたもの、飛び道具を使う者、魔法という手段を使うもの。
一人ではなく多数の場合もあった。これもまた素晴らしく面白い。
彼らは本気でこの俺を殺そうと襲いかかってくる。本気であればある程に楽しめる……俺は、彼らとの戦いを楽しんだ。
楽しんだ後彼らをかみ殺し、供物を腹に収めて再び眠りにつく。
甘美な夢を見る為に。
その夢を見る間にふっと、俺は考えていた。
時に小さな傷を受ける時があって、その小さな痛みを思いながら考えたんだ。
人間たちはもしかして、俺に眠ってもらいたいのではなくて……。
死んでもらいたいのかもしれないな……と。
俺はドラゴンだ。俺は死というものがある人間やその他の生物とは違う。死なない訳ではないが、死に怯える時代はとうに過ぎ去った。
怯える時代は、眠って無防備になる事を恐れていたに違いない。そうやってドラゴンの俺は眠るという方法を失ってしまった。
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