◆青葉さんの紫陽花の色◆

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家に帰ると、大量のてるてる坊主が俺を出迎えた。 「げ、なんだよこれ」 「見てわかるでしょ。てるてる坊主」 妹の陽菜は、俺と目も合わせず黙々と紙を丸め続ける。 「こんな大量にいらないだろ。こえーよ、儀式かよ」 「いいでしょ、別に」 陽菜はやると決めたら誰の言葉にも耳を貸さない。 昔からそうだった。 何か目標を決めたら、それに向かって努力する奴。 頑張り屋で、真っ直ぐで。 「雨降ると野球部の活動が中止になっちゃうんだよねぇ」 どうやら、最近好きな奴ができたらしい。 「野球部のためにこんなの作ってるのか?」 「ちょっと勝手に触らないでよ! 放送室の窓から見えるのよ、グラウンドが」 部活中の好きな奴を見物したいというわけか。 「告れば?」 「んー。告られ待ち」 「なんだそれ」 「告白してフラれるのやだし。それに、先輩は私の気持ちに気付いてると思う」 「なるほど、相手は野球部で上級生なのか」 「わっ、今のなし! これ以上詮索したら殺すから!!」 「自分からいかねーと一生てるてる坊主作るだけで終わりそうだな」 「うっさい……!」
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