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郵便物を受け取ると、母さんが呆れた様子でため息をついた。
「陽一、お父さんったらまた通販で何か買ったわよ。この前安いからとか言って余計な物買ったばかりなのに」
母さんの愚痴は一度口が開くと、父さんが帰って来るまで閉じることはなかった。
「安いって言ったって、一度使っただけで壊れたりするのよ?」
陽菜は目配せで俺に母さんを押し付けると、そそくさと自分の部屋に行ってしまった。
「それでね、私が牛乳をきらすと、そら見ろ。いつもまだあるとか言ってきらせているじゃないか。とか言うのよ? まるで自分の買い物癖を肯定するみたいに! 同じ物何個もいらないわよねえ?」
母さんは父さんに直接言えないことを俺に吐き出す。
初めて青葉さんに会ったときに感じたのとは違う。
母さんの言葉は、まるで豪雨のように俺の心を疲弊させる。
「ごめん。友達と約束してるんだった」
雨宿りする場所を求めて、俺は雨降る街に飛び出した。
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