第1章

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まるでプロポーズみたいだと思った。そしてそんな彼の気持ちが嫌ではないと思っている自分に驚く。住む世界の違う人なのに。 「どうか、傍にいることを許しては戴けませんか?私はずっとあなたの傍に居たいのです。あなたを守っていきたいのです」 一人でいる不安が全くなかったわけではない。むしろ、不安の方が大きかった。それでも王宮に居続けることもできなかった。だから傍に居てくれる人がいるのは嬉しい。それがこんなにも私のことを大事にしてくれる彼なら尚更だ。 「・・・・・私で良いのなら」 そう答えた私にエイルは今まで見たことがないぐらい嬉しそうに笑った。 「っ」 イケメンの笑顔は卑怯だと思う。 ◇◇◇ あの後、いったん王宮に戻った私はあらかじめま求めていた荷物を持ち、一応王宮を出ていく書置きをしてエイルと一緒に王宮を出た。エイルも辞表を親友に託してきたと言っていた。彼も荷物をまとめて、私たちは二人で王宮を出た。 べディーの件はエイルが親友のバートランドに引き渡し、彼女の所業が明らかとなった。彼女は婚約を解消された。国を救う為に召喚された聖女に危害を加えようとした(実際に加えられたのは私だけど。でも、彼女は私を聖女だと認識したうえで行ったので罪の重さは変わらないと判断された)罪に問われ、家は取り潰し。 殿下にも非はあるので処刑はされなかった。ただ一族国外追放となった。 その殿下だが、勝手な婚約破棄や今までの行いから王に相応しくはないと判断され、王位継承権を剥奪された。公爵家に降嫁したそうだ。王位には彼の弟がつくことになった。 ヒナコは王宮の離宮を与えられ、そこに住んでいると聞いている。 ただ、ヒナコの願いで暫く私の行方は探されていたみたい。でもそれも想定済みなので私とエイルはすでに隣国に渡っていた。 王にはあらかじめ、私の意思を尊重してもらうように頼んでいたので探すのはあくまで聖女の願いを受けたからということで表向きそのように動いてはいた。実際は探されていなかったのだ。まぁ、私が聖女ではないことも上手く働いたみたいだ。 王宮を出て思ったけれど私にはやはり王宮の暮らしは合わなかったようだ。今はエイルと一緒に小さな小屋でつつましやかではあるけれど、とても平穏な日々を送っている。 番外編 バートランド
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