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「教団の中で?」
「ええ 彼が使用していた その錫杖は 教団幹部だけが持てる まあ 一種の武器みたいなもの それを壊されてしまった 彼には もはや 公的な罪よりも 恐ろしい教団内の粛清が待ってるだけですから」
「粛清ですかぁ?」
「そう あのあと 彼は 自身が使役していた 教団から授かっていた 式神によって 教団上層部へ すぐに 彼の失態が伝えられたでしょうね」
「あとひとつ お聞かせください あの黒神教団の行者が言ってた神罰ってのは いったいなんだったのでしょうか?」
風水堂の高級フィナンシェを頬張りながら
誠 糺所長「神罰なんてものはありませんよ 黒神教団には しかし 彼らが信仰する黒い神像には 今まで 彼らが集めた人々の畏れ 怒り 悲しみ 絶望 など様々な負の心情が 凝縮されていて それを彼らは 神罰と言う名前で悪用してるのです」
「なんてことですって。それでは 神罰などではありませんねえ」と取材の材料として 話をメモしていた磯田記者が 言えば
「いやいや でもね 彼らが信仰する黒い神像に宿った力って点で、彼らの黒神教団においては 神罰と言うことになる訳でもあるんだがね」
「ええ なんか神様って 善い物ってイメージがあるけど そうかあ 確かに黒神教団にとっては あのような悪意を放つものも神ってわけですね」
と言う井上氏の顔が いくらか青ざめているように
その時 白鷺には 見えました
完
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