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あ、電話。
私かな?
お皿を洗っていた手を止め、水を止める。
タオルで手を拭きながらキッチンから出ると、絶望の顔をした内川がいた。
ぶっ。
すっごい顔。
吹き出した声に気付いてこっちを見る廃人。
彼女からなんやろなぁ。
どうぞどうぞ、とジェスチャーし、私は静かにするよ。と唇の前に人差し指を当てて頷いてあげた。
それを見て、泣きそうになりながら電話に出る。
「…もしもし?…あぁ、今会社の同僚ん家。んー、昨日飲み過ぎたみたいでさ…。そうそう。さっき起きて。夏帆、今日バイトだろ?何時終わり?…え?あー、わかった。ん、行ってらっしゃい」
ふぅーと、大っきい溜め息を吐く。
大丈夫やったかな?
…揉め事には巻き込まんでね。
「大丈夫だった?」
若干ビクッとしながらこっちを向く。
いやいや、動揺しすぎ。
「大丈夫…なはず。俺、嘘下手で…」
「まぁ、嘘は言ってないし、いんじゃない?
今同僚の家なのは事実だし。…彼女なんて?」
「今日は夏帆が飲み会ってさ。だから今日は会えないって」
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