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…結局。
家にあるもので料理をする事に。
時間も遅いし、簡単に出来る献立に。
焼き魚、厚揚げの煮物、具沢山のお味噌汁、ほうれん草のお浸し、ご飯は雑穀米。
「おお、美味そ。いただきまーす」
「どうぞ」
…なんか、この間から調子狂う。
この家で誰かとご飯一緒に食べたこととか、なかったのにな。
今までずっとひとりが当たり前で、淋しいと思ったこともない訳じゃないけど…。
こんな風に一緒にご飯を食べる人がいると…
「美味い。料理も上手なんだな。これで彼氏いないの?」
ハッ、として動かしていなかったお箸を、慌ててお味噌汁に伸ばす。
「それはどうも。彼氏もいないし、料理はせざるを得ない状況で作れるようになっただけ。何年も作ってれば、これぐらい誰でも作れるよ」
「…ふーん、あそー。
彼氏はいないっていうか作らないだけ、とか?」
どきっとした。
深い意味は無い、と思いたい。
「…さぁ、どうかな。そっちこそ。佐古山さん、彼女は?」
「薫。佐古山 薫、な。彼女はいない。こー見えても俺一途よ?」
「…それはどうでもいいけど。…食べたら帰って下さいね」
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