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悶絶するあの人を見るのが辛かったが、
楽にしてやってくれ、とは思わなかった。
あの人は最期まで戦った。
鎮痛剤の麻薬の量が増えていく。
もう精神状態も普通では無くなって、
あの人が段々おかしくなっていくのが解る。
身体のむくみが酷くて辛そうだったので、
ずっとマッサージをしていた。
目の前で衰弱していくあの人を見ながら、
連日の寝不足もあって、心身共にフラフラだった。
食事を取る間も惜しんでいた。
というか食欲なんて起きないので、私自身も倒れそうだった。
でも眼を瞑ったら、もう会えなくなる気がして…。
あの人のご両親と3人で交代で休むことになり、
簡易ベッドに少しだけ横になる。
お義父さんに声をかけられ
「脈が弱まってきた、みてやって」と起こされた。
その時間がどれくらい続いたのかとか、
時計を見る暇すら無かった。
ただ、意識が戻ったり無くなったりを繰り返し、
もう普通のあの人では無くなった状態ではあった。
最期に私にかけてくれた言葉はなんだっただろう。
朦朧としていて、それが夢なのか現実なのかも解らなかった。
「死なないで!」なんて言えなかった。
言えるわけが無い。
ただ言えたのは
「怖くないよ」
「私はここにいるよ」
「有り難う」
この言葉だけ。
お義母さんがしきりに
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