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「あんた頑張ったよ!頑張った!」
と言っていたのが気になって、
さすがにその時ばかりは、思わずどついてしまった。
生きている人に向かって、
過去形で言わなくてもいいじゃないか。
まるでもう頑張らなくてもいいみたいじゃないか!
そうしたら「今までも頑張ったんだから、
もっと頑張らなくちゃダメじゃないか!」と
言い直していた。
今充分に頑張っている人に向かって、
それを言うのも酷だと思ったが。
じゃあどう言えと?
難しい。
朝が来て、あの人は息をひきとった。
冷たくなったけど、ただ寝ているだけみたいにも見えた。
今まで点滴などを処置してくれていた看護師さんが
わらわらと来て、今度は別の「作業」に取り掛かる。
血の着いた服を取り替えるために脱がせた時、
鬱血して桃のように赤くなっていたあの人の身体を見た。
いつの間にかこんな風にまでなっていたなんて、
多分あの人自身も解らなかっただろう。
その後の展開は、考える有余すら無く、ただ慌しく
今日までつづく…。
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