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4回目の夜、少女は随分と具合が悪そうだった。看護師を呼んだらどうかと聞くと、今夜は母親が病室に泊まっているのだが、少しの間、自宅に戻っているだけだから大丈夫と答えた。
力のない神様であることを詫びると、
「いつか出世したらできるようになりますよ」
なんて、言ってくれるのだった。
その夜は母親が戻ってこないうちにと、すぐに部屋を出た。
次の夜、部屋へ向かおうとすると、少女は集中治療室に運ばれていくところだった。
俺はただただ祈っていた。
フラフラと自分の病室に戻ると、俺の母が来ていた。俺は寝ていたけど、毎日顔を出す母を、嬉しくもあり、ちょっと恥ずかしくもあった。でもこんな時間に来るのは、事故で入院した日以来だ。
(なんかあったの母さん?こんな時間に…)
そう声をかけようとしたが、できなかった。
母が俺の手を握って泣いていたから。ベッドの上で呼吸器をつけて横たわる俺の。
(俺、死んだのか?)
俺の体につながった心電図のモニターは、心臓が動いていることを示していた。
「よかった…、あとは、目を覚ましてくれたら…」
母は俺の体をさすりながら呟いていた。
俺はやっとわかった。俺は事故以来、ずっと意識が戻らずにいた。そして体を離れた俺の意識が、フラフラと出歩いていたというわけか。
少女は気づいてたのだ。そして、他の人には見えない、意識だけの俺を「神様」って呼んでくれた。
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