おじさんは地球人?

6/7
前へ
/7ページ
次へ
 指差した先に視線を移すと、そこには荒涼とした灰色の月面と暗たんとした宇宙空間が広がっていた。そんな中で、丸く、青い星が浮かび上がっている。  え? と困惑しながら、地球をまじまじと見る。日本は、どの辺りだろうか。と言うか、今見えている大陸はどこだろうか。ビー玉の柄のような雲が、もやのようにかかっていてよくわからない。  言葉と答えが見当たらず、しどろもどろしていると、カウンターに座っているマスターが豪快な笑い声をあげた。私の困惑を吹き飛ばすような、笑い声だ。何事かと見ると、笑い過ぎて涙が出てしまったらしく、ひぃひぃ言いながら目をこすっていた。 「お客さん、すまないね。まだ、小さい子の質問だからさ、流してくださいよ」 「小さい?」  誰のことだ、と思いながら、ウェイトレスに訊ねようと視線を移すと、彼女は頬を膨らませ「子ども扱いしてー」とむくれていた。  ますます訳がわからない、と思っていると、「孫が、すまないね。月の子だから、背が高いんだ。まだ小学生だから、変な質問をしてしまって、悪いね」とマスターが頬をほころばせた。 「月の子?」 「重力が弱いから、背が高くなるんだよ」 「あっ、え?」 「おじいちゃん、静かにしてて! 地球のことを調べる宿題があるんだから。ねぇ、おじさん、地球の面倒なことは、どの辺で起きてるの?」     
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加