1人が本棚に入れています
本棚に追加
当日 -1-
奴隷の気持ちなんか考えてもいなかった。私にとって奴隷とはいつもいるものだし、
便利なものだし、ある意味で親しいものだったのだから。
私が十を数えるぐらいに、まだ子どもの奴隷が私に付けられた。銀色の髪をした、
大きな目が可愛らしい女の子だった。
最初はその子が奴隷だなんて思いもせず、
ただ新しい友人ができたと思って純粋に喜んだ。
でも奴隷だったから、私の世話はしてくれていた。
食事から、掃除から……色々なことを。
そして一緒に学びもした、遊びもした。奴隷の子と一緒の部屋で寝てはいけない、
そんな言いつけも守らずに、夜の間はその子の部屋で一緒に過ごしたりもした。
あまり口数の多い子ではなかった。けれども優しい子だった。気配りも良くて、
素敵な子だとも思っていた。
私はその奴隷の子に危害を加えたりはしていない。子どもの頃から一緒にいて、
ある意味で友達のように一緒に過ごして、共に成長していった。
その子も私のことをとても仲の良い友達だと思っている、そう信じていた。
でも、その子はあの日、そこにいた。
最初のコメントを投稿しよう!