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朝から賑やかしい社内。
みんなどこかそわそわしてるのは、キングの出勤を待ってるからなんだろうね。
私はノートを片手にその時を待つ。
社員から貰ったプレゼントは、きちんと記録してお返しをする。
私はキングが貰った物を確認して、どこの部署の誰なのかを記入しなきゃいけないのだ。
律儀というか社員思いと言うか。
社長として、その辺は立派だなって思う。
あんなにチャラいのに自分の会社の社員を大切にしてるところだけは、尊敬出来る。
これで女遊びが激しく無かったら、凄くいい男なんだけどね。
なんだかんだ言っても優しいしね。
「「「「「おはようございます、社長」」」」」
ロビーに居た社員達が入ってきたばかりのキングに向かって頭を下げる。
プレゼントを手に駆け寄っていく社員達に遅れを取らないように私も駆け出した。
「お誕生日おめでとうございます」
あちらこちらから聞こえる声。
「みんな、ありがとう」
キングは優しい笑顔で手を軽く上げた。
次々と差し出されるプレゼントを受け取って一人一人にお礼を言うと、背後に控える三村さんに流していくキング。
私は三村さんの隣でプレゼントの特徴と相手を書き留めていく。
そして、前もって準備されていたプラスチックケースへとしまう。
流れ作業で申し訳無いと思うが、こうでもしないとプレゼントの数が多くてさばけない。
キングの人気は本当に半端ないと思う。
色恋沙汰とは別に社員に慕われてるから、男女問わず皆がキングをお祝いしてる。
キングの誕生日が、何かのお祭のように一大イベント化してるのを見てると、この会社がいい雰囲気で居心地のいい場所なんだと思えた。
「本当に凄いな」
思わず漏れた言葉は、
「普段、こんなにチャラくても社長は人望厚いんですよ」
どこか嬉しそうな三村さんに拾われた。
チャラいってはっきり言っちゃう辺りが三村さんらしいね。
「そうですね」
大きな会社なのに、アットホームな感じがするのは、きっと普段からキングが細部に渡って目を光らせて過ごしやすい環境を作ってるからなんだろう。
無理矢理就職させられたけど、今はここに勤める事が出来て良かったと思う私がいる。
「市原さん、この会社が好きですか?」
「はい。ここに勤められて良かったです」
今ならはっきりそう言える。
「それは良かったです。これからもお願いしますね」
目元を緩めた三村さんの横顔に、私もつられて自然と笑顔になった。
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