誕生日と初めてのドレス

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「いやー今年も沢山貰えたな」 社長室に運ばれた大きなプラスチックケースを見ながら満面の笑みを浮かべるキング。 ちなみに上までみっしり詰まったケースは2個だ。 「本当凄いですね」 これはお世辞じゃない。 感心したようにプレゼントを見て、それから再び手元のブラックノートに視線を落とす。 プレゼント攻撃が終わって社長室にそれを持ち込んだ私達は、それの集計と整理の真っ最中。 誰が何をと、書き込みながらきちんと明細を整える。 キングが中身を開けて、それを記載して。 皆、色々思いながらプレゼントを選んだろうな。 どうせなら、やっぱり喜んで貰いたいもんね。 「俺って人気者だよね」 「はい、そうですね」 「えーおざなりだよね」 上半身を突き出すように、私の方へと身を乗り出すキング。 「近いです」 なんか、ちょっと癪に触るんですよね。 言わないけど。 「市原さんに構ってないで、さっさと開けていってください。この後、仕事が詰まってるんですよ」 三村さんは冷たい視線を向け抑揚のない声で言う。 「へいへい、開けますよ」 唇を尖らせ不貞腐れたように言うと、プレゼントを開ける事を再開したキング。 「それにしても、色んな物ありますね」 「ええ。毎年皆さんよく考えてます」 「プレゼントのお返しとかって一人一人違うんですか?」 「流石にそこまで時間をかけていられませんので、男女別に同じ物を用意して配ります」 「まあ、そうですよね」 この量を一人一人考えてたら、普段の仕事が出来そうに無いもんね。 拗ねてるキングを他所に三村さんとそんな会話をしてると、あ! と突然キングが声を上げた。 「えっ?」 「どうしたんですか?」 三村さんと同時に声を上げてキングを見る。 「瞳依ちゃんから、プレゼント貰ってない」 物欲しそうな視線を向けられたので、やれやれと首を左右に振った。 こんなに貰ってるのにまだいるんですか。 まぁ、用意はしてあるのでいいんですけどね。 私はおもむろに立ち上がってソファーに置いてあった紙袋を手に戻ってくる。 「気持ちだけですけど」 「ありがとう。1番嬉しいプレゼントだよ」 そんなこと言ったら、他の人が気の毒じゃないか。
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