誕生日と初めてのドレス

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「いい買い物が出来たね」 満足そうに微笑んだキングはグラスの中身を飲み干す。 キング主導のまま金額の付いてない貴金属を数点買い付けたあと、何故か夕飯だと言ってお洒落な会員制のレストランに連れてこられた。 今日、私に使った総額を考えると、気持ちの悪い震えが来る。 たった一度のパーティーに湯水の如くお金を使うなんて、どんなお金持ちなんだと思わずにいられない。 「色々とありがとうございました。お金一杯使ったんじゃないですか?」 「良いの良いの。こっちが無理言って付いてきてもらうんだから、必要経費だよ」 どんな必要経費だよ、と心の中で突っ込みつつ納得いかない顔で溜め息を漏らす。 「キングの言うとおり気にする事はないです。仕事さえしてくれればこちらとしては問題ありません」 涼し気な顔でそんな事を言う三村さん。 「あ、はい、分かりました」 曖昧に頷いた。 仕事だと言われれば、当日役目を果たしますよ、勿論ね。 でも、納得いかないというか気が引けるというか、とにかく複雑な気持ちだった。 「ほら、そんな難しい顔してないで、冷めないうちに食べな。あ、俺の事は気にしなくていいからね」 キングはお姉さんとデートの時に夕飯を食べたようでアルコールとおつまみだけを摘んでる。 自分が食べないなら、夕飯に誘ってくれなくても良かったんだけどなぁ。 気にしないでって言われても気になるじゃん。 まぁ、そうは言っても私は食べるんだけどね。 「・・・いただきます」 ワインを手酌で注いでるキングを横目にテーブルに並んだ豪華な料理に手を付けた。 三村さんは涼し気な顔で、私達を気にする事なく綺麗な仕草で食事を始めている。 まぁ、帰ると言った三村さんを無理に引き止めたのは私なので文句言えないんだけど。 少しは助け舟をお願いしますと、思いつつも口に運んだ料理は凄く美味しくて思わず笑みが漏れた。 「美味しい」 「だろ? ここのオーナーシェフは大学の時の友人なんだよ」 「あ、そうなんですか」 「あいつ、昔から料理が得意で趣味がこうじて店を持つまでになったんだよ」 自分の事のように嬉しそうに話すキングに、ここのシェフも多分イケメンなんだろうと推し量る。 だって、キングの周囲にはイケメンしか生息しないんだもん。
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