竜虎対決とパーティー

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樹の会社訪問の日は思いの外あっさりと決まった。 三村さんから連絡を受け、樹に伝えたのはつい昨日の事。 「何を差し置いても行くに決まってるでしょ」 と言ってくれた樹の言葉は記憶に新しい。 良い友達を持ったと本当に思ってる。 隣で退屈そうにあくびをしてる伊藤先輩を横目に、私はぼんやりとロビーを見ていた。 キングの誕生日ウイークも終わり、うちの会社は通常営業になってる。 ロビーには訪問客と商談中の営業の人達が大勢いて賑わっている。 定期的に掃除の行われる床はピカピカに磨かれていて、天井のLED照明の光を反射していた。 それにしても、初めて会社に来た時も思ったけど、建物の作りが豪華なんだよね。 会社の顔だからロビーに力を入れてるらしいよ、と伊藤先輩は言ってたけど。 前の鉄工所とは月とスッポンだな、なんて考えて思わず笑みが漏れた。 「瞳依、今日の仕事帰りにご飯食べに行かない」 「あ、すみません。今日、友達が来るんですよ」 「へぇ、珍しいね」 「会社見学したいらしくて」 誤魔化す様に苦笑いする。 「会社見学って」 と笑う伊藤先輩に、 「私の職場が気になるらしいんですよ」 肩を竦めた。 嘘は言ってない。 「瞳依の保護者みたいね」 「そんな感じです。よく心配されるんですよ」 「あーそれ分かる。瞳依ってしっかりしてそう何処か抜けてるものね」 さり気なくディスって来た。 あながち外れてないので、言い返せないのが辛い。 「私としては頑張ってるつもりなんですけどね」 「それは無理でしょ。瞳依のは天然だもの」 アハハと豪快に笑った伊藤先輩。 ちょ、先輩! 目立ってますって。 「で、その友達はいつ頃来るの?」 「私の終業時間に合わせて来ると思うんですけど」 「あ、じゃあ会えるかも」 ワクワクしたような表情になった伊藤先輩に、小さく息をついた。 「樹に会っても大して面白くも無いですよ」 「瞳依の保護者がどんなのか気になるじゃない」 野次馬だ、ここに野次馬がいる。 「はぁ、そうですか?」 「うん、そ」 まぁ、良いけどね。 樹は自慢の友達だもん。 スタイルが良くて美人さんでしっかり者で、私の自慢だ。
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