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「愁」
「え…」
ぐっと腕を引かれ、背中に誰かを感じる。
「久しぶりだな、愁…」
酷く懐かしい声に、思わず勢いよく振り返った。
首痛い…
「琉生……りゅう、…」
なぜかじわりと目が潤む。
何ヶ月ぶりだろう、この人に会うのは。
「はは、泣くな」
くつくつと笑う彼は、この学園の生徒会長であり、俺の憧れの人。
あ、でも、まこがいるのに抱き合うなんて………、いっか、まこはもう…あの子のこと、好きみたいだし
「ぅ、うぇえ…」
自分で考えたことなのに、とても胸が苦しい。
「おっと…ここじゃまずいな。茜、だったか?君もついてこい」
「は、はい!」
スっと簡単に横抱きにされ、驚いて琉生の首にしがみつく。
「誠人、そんな奴に構ってないで仕事をしろよ」
酷く冷たい目でまこを見て、そういう琉生。
なんだか、怒ってるみたい…?
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