第一話 狼くんの好きな人

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――――保健室 ガララ… 「ん、ぁっせんせぇ…」 保健室に入ると、奥のベッドから甘ったるい声がしてびくりと硬直する。 ま、またヤッてるのか…あの変態保険医… 「……センセ」 ジャッと遠慮なくカーテンを引く。 「きゃっ」 「ん?おぉ、もう来たのか。…すまねぇ、続きはまた今度だ」 「は、はいっ!それじゃあ…」 顔を赤くした小柄な生徒は、保健室を出る寸前、俺を憎々しげに睨んでから扉を閉めて行った。……嫉妬か。 「おはよう、愁」 くしゃ、頭を撫でられるのが気持ちよくて目を細める。 「マスク外していいぞ、あと熱測っとけ」 ほい、と渡された体温計を脇に挟んで、標準装備になりつつあるマスクを外して机の上に置く。
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