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からりとした気持ちの良い笑い声を上げて
すこぉし怖いような顔で告げる
「昔ならいざ知らず、今の御時世あたし達の事を
ちゃあんと解る人間なんざ、そう居やしないわいな」
「そうなんですけど...
ほら、万が一って事もありますでしょ?」
「あんたは心配性だねぇ」
「だって見つかっちまったら
大層、怖い目に合うって聞きますもの」
そう言って不安げに眉根を寄せ
水の中へ半分、顔を沈める彼女に
「例え、あの人間にあたし達が見えていたとしても
化生の姿じゃなくて、あんたなら魚、あたしなら鷺。
畜生としてしか見えてないわな」
と言葉を吐く。
「仮に気付いたとして
すまぁとふぉんとやらで撮られるか、見ない振りをして来るかだよ」
「見世物小屋に連れて行かれたり、剥製にされたりしませんかねぇ?」
白い喉首を晒しながら楽しそうに笑って
言葉を紡ぐ
「今時、見世物小屋なんてもんありゃしないよ」
「それに今の人間共は、あたし等なんかに構ってる余裕はありゃしないさね、あいつ等は日々手一杯で自分の事だって見えちゃいないんだから」
「...そう考えると、私達にとって良い時代ですねぇ」
「そうさ、あたし達を信じないし見ない見えない人間が増えたから、こんな目立つ場所で酒盛りが出来るんだよ」
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