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二人で、丁重に挨拶をして、二人を送り出した。
「支配人、ありがとうございます」
「別に・・・習志野お前が責任を持って、ちゃんと最後まで面倒見ないといけないだろ?」
「申し訳ありません」
支配人の目には投げやりになっていた私の心情が見えていたよう。
「ランチ、まだだろ?俺と一緒に食べないか?習志野」
「私には残務処理がありますので失礼します」
支配人の眉間にシワが寄ったが、私は無視してサロンの中に戻ろうと踵を返した。
AIかなんか知らないけど、ロボットが決めた相手に興味を示す支配人。
彼の真の目的は私との結婚の先にあるホテル王の椅子に座るコトだってわかっている。
「残務処理なら、ランチの後でもいいわよ。習志野さん」
「チーフ・・・しかし・・・」
「支配人の誘いを断るなんて失礼よ。習志野さん」
「何が残務処理だ?お前、俺が居なければランチも返上してあのカップルに付き合わされていたぞ。…ほら、行くぞ。習志野」
お客様の前では低姿勢の支配人も私の前では別人にように変貌し、俺様になる。
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