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「ほら、飯だ!」
彼は私に向かって、コンビニ袋を渡した。
向かいのソファに腰を下ろし、私と同じコンビニ袋をローテーブルに置く。
中身はチキン南蛮弁当とペットボトルのお茶。
「これが支配人のランチですか?」
「まあな。何か文句あるか?
文句言う時間があるんなら、さっさと食べろっ」
「頂きます」
彼は私よりも先にお弁当の蓋を開け、チキン南蛮にタルタルソースをかけていた。
「AIが決めたと言え、お前…俺と結婚出来るんだぞ。嬉しくないのか?」
「私はそもそも結婚する気はありませんから・・・」
「・・・一生独身でいる気か?」
「そのつもりです」
「おかしな話だな。一生独身のつもりなのに、どうしてウエディングプランナー目指して、専門学校に入学し、卒業した?」
「それは…人の幸せのお手伝いする為に・・・」
私は結婚に対して、夢が持てない。支配人は容赦なく、私の矛盾する思いを突いてきた。
私が結婚に夢を持てないのは亡くなった両親のせい。
「…俺がお前に夢を持たせてやる」
「何度も言いますが、結婚する気はありません」
「お前になくても、結婚してくれなければ、俺が困るんだ!」
「ホテル王なれないからですか?」
「そういうコトだ」
支配人は声を強め、返すとご飯を口を運んだ。
「俺だって、ホテル王になれなければ、結婚なんてしないさ」
「お互いに結婚願望がないってコトですね・・・」
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