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オーナーは妹尾さんの淹れたコーヒーをそそくさに飲み干した。
「後は二人で話をするといい。俺は二人の結婚には大賛成だ。習志野さんと
結婚すれば、社長の椅子はお前にくれてやるぞ。晃祐」
オーナーは口笛を吹かせて、妹尾さんと一緒に部屋を出ていった。
「何が二人で話し合えだ・・・勝手に決めやがって・・・」
支配人はコーヒーを啜り、ボヤいた。
「おいっ、習志野お前は男居ないのか?」
「今は居ません。支配人は?」
「俺も居ない」
「でも、私…社長が入ってる『ウエディングワールド』に入会した記憶ないんですが・・・」
「ここだけの話、父さんがドラゴングループの独身従業員たちのデータを勝手に『ウエディングワールド』に入力したんだ」
「そういうコトですが・・・」
「世界中の美女たちが登録しているはずなのに、なんでお前なんだとAIに訊きたい・・・」
支配人は不満そうに呟くと残りのコーヒーを飲み干した。
「・・・私からは社長を説得できません。支配人の方からお願いしますね」
「・・・俺だって出来ないよ。父さんは頑固な人だ」
「じゃどうすればいいんですか?」
「・・・俺には二人の弟が居るコト、知ってるよな」
副支配人は弟の夕都(ユウト)さん。
もう一人の弟はコンシェルジュの巳月(ミツキ)さん。
このホテルは小早川ブラーズが取り仕切っていた。
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