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「私、戻りますね」
「あ、待てっ」
俺は行こうとする優亜の腕を掴んで、非常口の扉に背中を押し付けた。
最近、お互いに忙しく同じ部屋に住みながら、すれ違っていた。
俺は彼女にキスしようと顔を近づける。
優亜は俺の顔をジッと見ていた。
「おいっ…お前・・・俺が何しようとしてるかわかってるだろ?目瞑れよ」
俺の方がテレ臭くなり、顔を離すと彼女は瞳を閉じた。
俺はチャンスと思い、彼女の唇を奪う。
彼女に触れれば、カラダが欲情し、心から愛しさが溢れる。
朱里には感じなかった感情。
朱里の方が遥かに美人でスタイルだって良かったのに。
俺と朱里は確かに結婚まで考えていた仲。
でも、俺には父の後を継ぎ、ホテル王になる夢。朱里は母と同じ女優になる夢があった。
ーーーーもう7年前の話。
俺もその後、夕都のように日本で出て海外の三ツ星ホテルでキャリアを積んだ。
俺たちは夢の為に別れた・・・
そして、今は俺の片側には優亜が居る。
AIもまんざらじゃない。
唇を離すとねっとりとした白い糸が引き合った。
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