九
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「 ―――― じゃあな、雛子」 ぽつりと、囁くような密やかな声で告げて、凪子を追うように踵を返した。 離れていくその背を、大きな白い月を背負った物言わぬ老木が、花を撒きながら静かに見送る。 小さくなっていく背は、二度と振り返ることはなかった。 了
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