漱石がのぞいた穴

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翌日、漱石は同僚に、自分が見た100年後の日本を熱心に語った。 余りの興奮ぶりに同僚達は目配せをし、うなずいた。 今までの漱石は憂鬱そうではあったが、じっとしているだけだった。 だが今は、目をかっと見開き、ずっと話しっぱなしである。 迫力がありすぎて、身の危険を感じるほどである。 何か突飛な行動をして、手遅れになる前に、手をうたねば。 「これは我々の手には負えない。さあ、帰国させるよう、手配しよう。自分が千円札の顔になって、樋口一葉は五千円札だと?馬鹿げてる。」 これが漱石が「驚くべき御様子、猛烈の神経衰弱」に陥った、と当時言われた事の顛末であった。 ・・・というフィクションです
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