第一章

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第一章

 俺たち下っ端の仕事は、もっぱら後方支援だ。だが、後方支援と一口で言っても、色んな業務がある。状況がイーグルチームや少数の応援だけで対応出来そうな場合、地元の警察や消防と連携して避難の誘導を行ったり、道路を封鎖して余計な手間を増やさないようにするのも、忘れちゃいけない大事な仕事の一つだ。  今日の任務は、その道路封鎖…まあ、いつもに比べれば、だいぶ気が楽な任務だ。無線から聞こえて来る状況報告も、事態が収集しつつある事を…、おっと、カジタニ副隊長からカミナリが落ちたぞ。さすが頼れる現場のリーダーだけはある。  とは言え、さすがにこっちまでトバッチリが来ることはあるまい。ただ、俺たちがいま封鎖している道路の先には大きなダムがある。万一決壊でもしようものなら、下流の被害は甚大だ。  既にラジオから何度も警報を流しているだけの事はあって、行楽シーズン真っ只中だと言うのに、ダム湖を訪れる観光客の姿は無い。このまま何事も無ければ、数時間で基地に帰投出来る…     
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