0人が本棚に入れています
本棚に追加
「それとね、レイジは覚えていないかもしれないけれど、アラヤはお父さんとそっくりなのよ」
「父さん?」
私の父は3歳の時から行方不明だと聞かされていた。
「そう、アラヤの外見はお父さんとそっくり。覚えてる?」
私は首を振った。父がどういった人だったのかは知らないが、アラヤの姿を見た限りでは、きっといい人だったのだろう。
「アラヤ・・・綺麗だね」
「ええ、そうね。レイジ、実はねこれは他の人には内緒なのだけれど、アラヤはね、あなたの弟でもあるのよ」
「弟、アラヤは僕の弟?」
「うん。レイジを生んだ後に、アラヤはここで生まれたからね。神様ではあるけれど、体は人間と変わらないもの」
私はじっとアラヤを見た。
「ねえ母さん、アラヤはいつ目を覚ますの?」
私は母に訊いた。母は残念そうな表情をする。
「それはまだ分からないの。でももし、アラヤが目を覚ましたら、レイジは仲良くしてくれる?」
その時私が何と答えたのかは覚えていない。けれどたぶん、とても嬉しそうに答えたのだと思う。私はその時から、神様でもある弟が目を覚ますことを願っていたのだから。
最初のコメントを投稿しよう!