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アラヤが目を覚まして5年。裏世界のトップにいた祖父からの地位を引継ぎ、唯の人間として目を覚ましたアラヤに新たに名前を与え、普通の人間として生きられるように自分の保護下に置いて見守って来た。そうするために、誰かを傷つけてもアラヤを守るために、私は力を使うことを厭わなかった。それが、兄としてできる最大限の努力でもあった。
そして様々な犠牲を払い、アラヤは再び蘇った。神として蘇った弟と対峙したとき、その神々しさに私はやはりアラヤの兄でよかったと思った。
「レイジ、お前の望みが何かオレは知っている」
アラヤは力強い視線で言った。
「なら話は早いね。その望み、叶えてくれるのかい?」
私は期待を込めて言う。――世界を壊せば、アラヤを救うことができる。
「だめだ。その望みは、叶えてはいけない望みだ。それに、オレはオレが生きたこの世界が好きなんだ」
アラヤははっきりと、力強く言い切った。
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