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身体的に問題がないことから、病院内であれば外出してもいいと許可されたので、さっそく梓沙は秋良の手を引きエレベーターに乗り込みます。
母親も一緒につき添うつもりでしたが、梓沙がそれを制しふたりで病室を離れます。人一倍責任感の強い梓沙です、姉として最後まで面倒を見るつもりの覚悟でした。
ずっと梓沙は悩んでいたのです。誰にも話すことはありませんが、夜になるとベッドにもぐりひとり泣くことも。涙の原因は秋良のこと、それは自分の不甲斐なさ。
もっとはやく見つけれいれば、もっとはやく学園を出ていればと後悔しない日はありません。秋良を襲った犯人は法で裁きを受け刑務所に送られましたが、できることなら梓沙が裁きを下して彼の岸に送ってやりたかったと悔やむ日々。
決して梓沙の責任ではありませんが、弟を傷つけた犯人を許せないのと同じくらいに、自分もまた許せないと心に傷を負うのでした。
ですが前向きな梓沙のこと。
それら償いはよりいっそうブラコンをこじらせる結果を招き、いつの日か秋良の手を引いてくれる者が現れるときまでスパルタの鬼として君臨するのでした。
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