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あらゆる格闘技を網羅した梓沙はかなりの腕の持ち主、大の男相手に一歩も譲りません。ですが少女と成人男性の力の差は歴然、結果として梓沙は負けてしまいます。
全身を打撲し、攻撃や防御の際に受けた手と足の亀裂や骨折、特に酷かったのは集中的に受けた顔の攻撃で、頬は腫れあがり内出血によって米茄子を彷彿するほどの重傷です。
倒れ力尽きた梓沙を見て男は焦ります。頭に血がのぼったあまり手加減をしなかった。ぐったりと倒れ込む少女を冷静に見下ろし、もしかすると殺してしまったのではと怖ろしくなったのです。
当然ながら男は逃げました。けれど格闘技を実践していた梓沙は、大きなかけ声を忘れなかった。それが功を奏したようで、たまたま通りかかった通行人の耳に止まり通報。
逃亡した男は現行犯逮捕とはならずでしたが、大破したスマートフォンのSDカードに犯人と思しき画像が残っていました。
シャッターを切った際に自動でSDカードに送られるといった仕様だったので、それが今回は大いに役立つ流れとなったのです。
サングラスはしておりましたがキャップは脱げており、表情こそはっきりとはしませんが背格好など特定に至ったそうです。
それと決定的な証拠がもうひとつ。これは秋良の身体を検査した際に得た証拠。皮膚に残る犯人の唾液、臀部内には男の精液が採取され、動かぬサンプルの証拠がそろいました。
これまでにも男は犯行を繰り返しており被害者は数知れず。けれども被害届こそ出されようと証拠を残さなかった、それで男は今日まで逃げ果すことができたのです。
それなのにどうして今回に限って、秋良を襲ったときは避妊具を使わなかったそうです。異常者の考えなど図りかねますが、運がいいのか悪いのか男は御用となりました。
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