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決して短くはない入院生活ではありますが秋良は恵まれた幸せな子です。
絶え間なく秋良に注がれたのは家族の愛情それに医師や看護師の誠意、そしてかけがえのない友達からの友情でした。
多くの真心を一身に受けた秋良の心は確実に癒され、少しずつではありますが反応を示すようになりました。無表情だった秋良でしたが、ぎこちなくとも笑顔を浮かばせるまで感情がもどったのです。
話しかけられたら笑顔で返す、そんな何気ないふつうの反応でさえ秋良にとっては難しいことです。けれど幼いながらに秋良も必死だったのでしょう、みんなの好意に応えようと努力しました。
結果として未だ声を忘れ話すことはできませんが、かけられた言葉に対し笑顔や身ぶりで対応するまでに回復。両親と梓沙は喜びました。
以前の秋良が戻ってくると病室は笑い声に溢れます。さして珍しくもない当たりまえの日常も梓沙たちにとっては何よりの贈り物、ですが流した涙は一生分よりも多かったでしょう。
絶え間なく注がれる愛情により秋良の心は修復されました。深かった傷も痕が薄れてきた日の出来事、それは前触れもなく突然やってきたのです。
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