光と闇の方程式

1/33
前へ
/41ページ
次へ

光と闇の方程式

 1  一之瀬邸に待望の男の子が生まれました。  玉のように愛らしい赤ん坊は秋に生まれ、心根の優しい善良な子に育って欲しいと願い”秋良”と名づけられました。  第一子が女の子だったので、つぎは男の子がいいなと両親は夢の家庭図を描き、それは願ったとおりに想いが叶ったのです。  長女である梓沙も弟ができたと大そう喜び、いつもそばにいて秋良を可愛がりました。それは歳を追うほどに愛情も深くなり、鈍感な秋良以外が認めるほどのブラコンとして梓沙も成長していきます。  ベビーベッドから歩行器、つぎによちよち歩きを始めた秋良が初めて口にしたのは「あーちゃ」でした。”あーちゃ”とはつまり梓沙姉さん、両親はがっかりですが梓沙は泣いて喜びます。  それから月日は流れ秋良は幼稚舎に。毎日が目まぐるしく過ぎてゆき、秋良は梓沙の後ろをついて歩くように。翡翠ヶ丘駅まで父親の車で向かい、そこからは電車で学園都市に向かいます。  梓沙は秋良の手を引き幼稚舎へ送り届けると、その足で初等部の校舎に急ぎます。帰りは幼稚舎に秋良を迎えにいき、電車で駅に戻ると繁華街を抜け歩いて邸に帰りました。  また時は流れ秋良は初等部へ。梓沙は中等部へ上がりましたが、初等部と中等部は同じ校舎内にあるため梓沙にとって都合がいい。休憩時間のたび秋良の様子をうかがいにいきます。  昼休憩になると秋良を迎えにいき仲良く食道へ。シェフお手製のお弁当を囲み、梓沙の友達も一緒に団らんと食事します。あるときは中庭にシートを敷き、ピクニック気分を味わい楽しむのでした。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加