1人が本棚に入れています
本棚に追加
いつもなら家に帰えると、飯を食って風呂に入り勉強をするのがルーティーンなのだが、今日は何もやる気が起きない。食欲すらないのだ。
俺は母さんに気分が悪いから飯はいらないと言って自分の部屋に入ると、ベッドに横になった。
もう、勉強しても意味なんてない。
結果が出なくても勉強を頑張れたのは、沙耶香が俺と同じ大学を目指していたからだ。
別に志望校は、わざわざ2人で合わせたわけではない。たまたま一緒だったのだ。ただ、お互いにそれが嬉しくて、「合格したらずっと一緒に居られるね」なんて2人で喜んでいたこともあった。
でも、もうあいつは俺の彼女じゃない。そう思うと、なんだかもう勉強をしなくてもいい気がしてきた。
サッカーだってそうだ。どうせもう俺は試合に出られない。だったらもう、ただ応援するためだけに部活に行く必要もないんじゃないか。
「あー、もう全部どうでもいいわ」
そう言って俺は寝ようと電気を消して横になると、ふと涙がこぼれた。
本当はどうでもよくなんかない。
沙耶香とずっと一緒に居たかったし、一緒に大学に行きたかった。部活だって、ほんとはレギュラーとして試合に出て、有終の美を飾りたかった。なのに、なのに、、、、
「っぐ、ひぐっ」
声を押し殺して、布団の中で俺は泣いた。
最初のコメントを投稿しよう!