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気が付くと俺は、教室にいた。でも何かが変だ。そう、なぜか夜の教室に俺はいるのである。忘れ物でも来たのであろうか?自分のことなのになぜここにいるのか、よくわからない。 普通の高校生なら、夜の教室に1人でいるのは怖いだろう。実在するかどうかは別として、夜の学校と言えば幽霊である。そんな風に恐怖を感じていたら、ちょうどタイミングよく髪の長い白いワンピースの女がうめき声をあげながら教室に入ってきた。 「う、う、ヴヴヴヴヴ、タスケテえええええええええええええええ」 「うわー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 俺はとっさになぜだか分からないが、窓から飛び降りた! 「え、俺なんで飛び降りてるの?」 そう思ったときには時すでに遅し。俺は校舎の4階から転落死するのだろうと思ったが、不思議と体は宙を浮いている。 「あれ、落ちない?」 そしてふと気づいた。左腕にはめていたギプスがない。それどころか俺は、左腕に一切の痛みを感じないし、ピンピンである。 そして俺は気付いた。これは夢であると。 ということは、、、 「これでどうだ!」 ゆっくりと下に降りるように念じてみると、俺の身体はパラシュートのごとくゆっくりと地面に降り立った。 そして再び空を飛ぼうと念じると、体は宙に浮いた。 どうやらこれが、明晰夢とやらである。明晰夢とは、夢を見ている本人が夢を自覚したうえで内容をある程度コントロールできる夢のことを言う。おそらくさっきの女の化け物は、俺が学校の怪談を意識してしまったゆえに出てきたのだろう。 なんとなく俺の意志で目を覚ますこともできる気がしたが、せっかくなので少し歩き回ってみることにした。
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