1人が本棚に入れています
本棚に追加
昨日の早朝。
1人の女性の遺体が発見された。
遺体は激しく損傷しており、その傷の殆どが獣による噛み傷や引っ掻き傷だ。ただでさえ住民の少ないこの村にとっては大打撃だった。
男達は彼女を前に手を合わせ、遺体を調べ始めた。まず見ただけでわかるのは、右腕と左足が無くなっている事。内臓が飛び出ている事。それらが獣の牙によって噛みちぎられている事だ。男達は最初遺体に触れる事を拒んだが、1人の男が調べ始めると周りも便乗してきた。
「…これは…酷いな…。」
「……金品はつけたままだ。強盗ではないだろう。」
「いや、まず獣の仕業だと考えた方が自然だろう。」
「お前、馬鹿か?ここはだだっ広い草原のど真ん中だぜ?獣なんて居ねえよ。」
「…村長、これは…。」
男達は、扉の方を振り向いた。そこに凛と立つ彼は、ゆっくりと、とてもゆっくり、重い口を開いた。
「……
人狼だ。」
最初のコメントを投稿しよう!