序章

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昨夜の晩餐はなんと豪華であったろうか。 ナイフとフォークが肉に突き刺さる感触。口の中に入る時の何とも言えない幸福感。その歯で噛み、肉汁が滲み出てくる時の感覚。その一つ一つを噛み締め、脳の隅に深く刻む。 そうして刻んだものを街中で一人思い返しては満足感に浸っている今日この頃である。久し振りに食う肉とはあんなに美味いものなのか。毎日食うものはすぐに飽きて吐き出すのに、やはり「久し振り」とは特別なのだな。思わず顔がほころぶ。おっと、危ない。いつでも警戒心を保たなければ。 それにしても、平和だ…。
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