序章

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昨日の早朝。 1人の女性の遺体が発見された。 遺体は激しく損傷しており、その傷の殆どが獣による噛み傷や引っ掻き傷だ。ただでさえ住民の少ないこの村にとっては大打撃だった。 男達は彼女を前に手を合わせ、遺体を調べ始めた。まず見ただけでわかるのは、右腕と左足が無くなっている事。内臓が飛び出ている事。それらが獣の牙によって噛みちぎられている事だ。男達は最初遺体に触れる事を拒んだが、1人の男が調べ始めると周りも便乗してきた。 「…これは…酷いな…。」 「……金品はつけたままだ。強盗ではないだろう。」 「いや、まず獣の仕業だと考えた方が自然だろう。」 「お前、馬鹿か?ここはだだっ広い草原のど真ん中だぜ?獣なんて居ねえよ。」 「…村長、これは…。」 男達は、扉の方を振り向いた。そこに凛と立つ彼は、ゆっくりと、とてもゆっくり、重い口を開いた。 「…… 人狼だ。」
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