おいもの天ぷら

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秀馬は、目の前に出されたサツマイモの天ぷらとベルギーチョコを見比べた。 ゆっくりと咳払いをしてから、 「ん、歩。受け取って置いてくれ」と指示した。 「え? 秀馬さん、どっちをですか」 小声で歩が秀馬に尋ねた。 仁美は怪訝な表情で一子の広げているタッパーの中を覗き、小馬鹿にしたように鼻で笑った。 「どっちもだ」 そう言い捨てて、秀馬はさっさと店に入ってしまった。 「え、嘘でしょ! そのイモと私のチョコを一緒にする気? わざわざ、ロケ前に届けに来たのよ!」 一子と一緒にされ仁美が、怒りだしていた。 「仁美さん、すみません。あの……後で秀馬さんには、きちんと言っておきますから……」 必死に仁美をなだめる歩。 「秀馬さんに言っておいて! 今度失礼な真似したら許さないって」 歩がなだめても一向に効果がなく、仁美はカンカンに怒って車に乗り込んで行った。
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