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「えっと、きみもなんか……ごめんね。」
歩はタッパーに蓋をしながら一子にも謝った。
「いえ全然大丈夫です。私もそろそろ帰ります」
にっこりと柔らかく微笑む一子。
「ああ、うん。気をつけて」
歩は、一子を見送るとイモの天ぷら入りタッパーとベルギーチョコの箱を抱えて、店の奥にあるバックルームへ向かった。
「秀馬さん、これ何処におきます? 今食べます?」
歩の言葉に秀馬はコートを脱いでハンガーにかけながら眉根を寄せた。
「食べる? 誰が」
「秀馬さんが」
テーブルにタッパーと箱を置いて歩は椅子に座り、タッパーの蓋とゴールドの箱の蓋をあけた。
「うまそう。俺、イモの天ぷらもチョコも大好き。秀馬さんが食べないなら俺が」
天ぷらをつまもうとする歩の手をパチンと叩く秀馬。
「いてっ! 食べるの? 秀馬さん」
「食べない。ただ、お前に聞きたい事がある。俺はいつからチョコ好きになったんだ? ん?」
秀馬は自分の鼻先が歩の顔につく位に近づいた。
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