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「えっと……違いましたっけ」
「とぼけるな。お前だろうが。チョコが好きなのは」
「ばれました? いやあ、仁美さんに秀馬さんって甘いもの好きかしらーーって聞かれたもんで。どうせ秀馬さんは女からプレゼントされたものとか食べないし、どうせ回ってくんなら俺の好きなもんにしようかと」
「で、チョコレートって言うわけか」
「すみませんでした! 二度とウソはつきません……」深く頭を下げる歩。
「…後でみんなにも分けろ」
「はい。ありがとうございます。じゃ仕事に戻りま?す」
歩が出て行ってから、秀馬はテーブルに近づいた。
「イモ……なんだってイモなんだ」
首を傾げながら、イモの天ぷらを一つ摘み上げた。
ジロジロと観察して蛍光灯にかざしてみた。
「普通のイモだ。お礼がイモ? 理解に苦しむ」
ーーーあんな女が作ったイモ天なんか食べらる訳がない。食べない。食べてたまるか。
摘み上げた天ぷらをタッパーに戻して、秀馬は、テーブルに常備してあるウェットティッシュで手を入念に拭いた。
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