おいもの天ぷら

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テーブルの上を見回し、秀馬は何回か瞬きを繰り返した。 ーーーない。ない。まさか、あんなにあったのに? テーブルの上にある白いタッパーの中には、何も無くなっていた。 秀馬はタッパーを持ち上げてタッパーの底を確認する。 ーーーない。 テーブルの下も覗いてみる。 ーーーない。 パスタを食べている女性スタッフに秀馬は聞いた。 「天ぷらは、美味かった?」 作り笑いを見せる秀馬に、女性スタッフは、ハッとした顔になった。 「すみません。……食べちゃいました」 「いや、いいんだ。みんなに食べてもらえるくらい沢山あったから……で、美味かった?」 「はい、とっても。ホクホクしてて」 ーーーホクホク……。 秀馬は眉毛をピクピクさせた。 「そりゃあ、良かった」 ーーー俺は、一つも食べていないからわからない。ホクホク……。 かえって無くなってて良かった。あったら、食べる羽目になっていたところだ。 ははっ、良かった。イモ天なんか俺のイメージじゃない。なんだ。良かった。 なんとなく少しだけ肩を落としたような秀馬を見て、パスタを食べていたスタッフ達は顔を見合わせていた。
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