魔法

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魔法

★まほう 「では、今日も一日よろしくお願いします」 朝礼を終えて、気持ちよくお客様を迎える。 爽やかで活気のある美容室「aubu」の1日の始まりだ。 店の外には、毎日予約以外の客が数人並んでいる。予約していない一般客は、待たされるのを承知で並んでいる。 そんな客に愛想を振りまくのは、秀馬の日課でもあり重要な役割だ。平たく言えば、客寄せパンダだ。 大抵の客は、『aubu(オーブ)』のディレクター兼オーナーでカリスマ美容師の真田秀馬に逢えるかもと期待してくる。 そんな客は、朝一に並び秀馬に逢えると、超イケメン、超いい人、又行きたい!との口コミをタダでLINEやSNSで広げてくれる。 それが、やがて店の集客につながるのだ。日々のちょっとした気配りが大切だと秀馬は身にしみて感じていた。 だから、秀馬は今日も 「いらっしゃいませ」 極上な笑顔で扉を開けて、一番最初のお客様を迎える。 極上の笑顔は、扉を開けて見事に凍りついていた。
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