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 颯爽と愛車を飛ばしちゃいるが、ど辺鄙な田舎の山道で見る物と言えば木々ばかり…。 道路もそれなりには舗装はされているが、時たまガタッと突き上げるような衝撃や、ガクッと落ちる衝撃でケツも痛くなって来た。 この状況が既に2時間近く同じように続いているんだから、いくらドライブが好きだとしても飽きもしてくる。 オマケにうす暗い曇り空が、鬱蒼とした木々の合間から湿った風が吹いてきやがる。 夏も近くなったこの季節特有な風だ。 空いた窓から吹き込む風は、湿気を帯び生暖かく体に纏わりついて来るようで、ちぃっとばかし鬱陶しい…。 例えるならそこそこ込み合った電車での人の息…。 止めよう…。 雨が降ってくる前に目的の場所へ辿り着けると良いんだが…。 そう思い始めた矢先。 目的の場所がようやく見えてきた。 小高い山の上に立つ古びた大きな洋館だ。 元々はこの国のバブル時代のテーマパークの名残りらしいが。 いったい誰がこんな辺鄙な所まで来るのかと、こいつに出資した人間にダメ出しをいれたいね。 愛車をその洋館の正面玄関前で駐車すると、ちょうどポツリポツリと雨が降って来やがった。 ギリギリセーフ…。 雨にさほど濡れる事もなく、無駄にデカい玄関へと辿り着いたオレは目に付いた呼び鈴を鳴らした。 キ~ンコ~n♪… 何とも言えない間の抜けた音を鳴らしたが、何の反応もない。 気づいてないのかもしれないので、何度も鳴らしてみる。 キンコキンコキンコキンコキンッキ~ンこ~n…♪ やはり反応がない。 いくらひさしの下とは言え、雨の中で待たされるのも癪に障る。 仕方がないので…。 オレは勝手に洋館の中へと入る事にした。 「ちょ~くら、お邪魔しますよ~」 玄関の鍵を自前のキーピックで容易く解錠して、バカでかいドアを開ける。 洋館の広いエントランスホールの中へと一歩足を踏み入れようとした。 その時だ!! ピヒュッn!!ビ~ーーーン!! 絨毯を敷かれたその床から短槍が一気に飛び出して来た!!! しかも確実に足裏を捕らえるように、半畳程の一面にっ! 「おっ~コッワ~…」 まるでヨガの達人かのように、あり得ない方向へと足を避けてなかったら、完璧に足裏を吊らぬかれていただろう。 侵入者避けの罠って言うのは、そこの主や招待客にまで作動されちゃ困る代物だ。 ザッと見た所、罠の数からして、このオレはどうやら招かれざる客らしい…。     
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