依頼

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「たくっ!しょうがねぇなぁ…」 オレはため息一つ吐くと、呆れながらも洋館の中へと入っていった。 このまま踵を返して帰るのも選択肢にはありはしたが。 これがオレに対する、あの人なりの友情表現なのだろう。 洋館は二階立ての、回のような作りで…。 中央は中庭吹き抜けとなっている。 階段は奥にあるようだが…。 目的の部屋が何処か分からない。 目的の部屋を一部屋ずつ探しながら洋館の中を探索していくが、進めば進むほど罠もだんだんと巧妙化していく。 玄関から階段まで糸やワイヤーやボールが、まるでピタゴラスイッチかのように連動するトラップ。 オマケに洋館の中なのにご丁寧に丸太や落とし穴、竹のスパイクボールを使ったトラップまでありやがる…。 イヤらしいのがトイレにまでトラップを仕掛けてたのには笑ったが。 階段は特に危ない!! 完全に殺しに来てるだろってトラップばかりだ。 2階からは更に、赤外線センサーや重量感知、様々な電子機器トラップまで混じえて仕掛けてきやがった。 まるで侵入者用トラップの見本市だ。 ここぞって所でねっとりとイヤらしく仕掛けて来やがるからホントタチが悪い。 コレを仕掛けた奴は、人の行動心理をよく理解している。 幾つかの見え見えのしょうもないトラップを解除せずに避けると、必ず後々になってその罠でつんじまうようになってやがる。 生半可に腕の立つ泥棒なら、即引っかかっているだろう。 オレ? オレはホラッ…超一流の大泥棒だか…。 ∥∥ガクッ!!∥∥【突如として抜ける床】 んんnっ!!?? ……ら引っかかっても大丈夫…。 思いのほかデカい落とし穴の底まで落ちないよう、穴の中腹の側面へ両手両足で突っぱって止まるオレ。 指と足を器用にちょこちょこちょこちょこと動かし廊下まではい上る。 二階も大概調べつくした。 見るとうす暗い廊下の先に、一室だけドアの隙間から部屋の灯りが漏れてい る。
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