1人が本棚に入れています
本棚に追加
どうやら、あそこにココの洋館の主がいるようだ。
罠を3つ程かわして、ドアに取ってつけたようなカードキー併用電子錠も、自作のタブレット端末に繋げて楽々と解除するとノックをしてドアを開けた。
その広い部屋には、天蓋のついた大きなベッドがあり、半身を起こした老人がいた。
顔は皺くちゃで体も痩せ衰えている、見た目は90を過ぎているだろうか。
今にも死にそうな印象だ。
オレにはその顔に見覚えはまるでない…。
「ようっ爺さん!久しぶり。
しぶとくまだ生きてたかいっ?」
爺さんはこちらを見ると応えだした。
見た目とは違いまだ声には張りと元気、若々しさがある。
「久方振りだな。三世…。
死神から、なかなかお呼びが来なくてね。
閻魔大王から浄玻璃の鏡をぜひ盗んでみたいのだがな…残念だよ」
「そりゃあ、閻魔様が盗まれるのを怖がっているのさ。
爺さんなら下見せずに初見で楽勝に盗めるだろう、何たってあんたは大怪盗なんだから」
爺さんはそう言われると嬉しそうに笑った。
そうこの人は、かつてこの国では知らない人など居ない程の大怪盗。
オレの大先輩にあたる人だ。
「それにしても三世。
君にしては、この隠れ家を捜し出すのに随分と時間がかかったようだね」
「捜すのに苦労したした。
五日もかかっちまったよ。
そっちこそ、オレの潜伏場所がよく分かったな」
「なに、答えは単純だ。
君がここ数週間以内に盗みに入りそうなお宝を、世界から九つ選び出してね。
その九つの地域全てに新聞広告を出したまでだよ。どうだ単純だろう?
…でどこの国の新聞だったんだ?」
「この国さ、最初読んだ時は驚いたぜ。
まさか爺さんがオレを頼るなんてな」
オレは懐から新聞を取り出すと、その老人にこれ見よがしに見せつけた。
最初のコメントを投稿しよう!