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「そうそう、覚えてくれて嬉しい。同じ年だし恭子でいいわよ」
にこやかに笑った綺麗な女性は、秘書課の同僚で、確か副社長秘書だったはずだ。
「ありがとう、私も千香で」
「OK。どう?社長は」
彼女もお茶をいれに来たようで、慣れた手つきで湯呑を温める。
「どうって……まだわからないけど優しそうな人だよね」
当たり障りのない答えをすると、恭子も頷いた。
「若くしてこの会社を立ち上げて、ここまで大きくしたのに、威張ることなく、社員からの信頼も厚いのよね。そしていい男」
「へえ」
「それにここだけの話、御曹司らしいよ」
小声で言った恭子の言葉に、私は驚いて恭子を見た。
「御曹司?」
「そう。あくまで噂だけどね」
そんなこと聞いたことなかったけど……。
って、先輩って決まった訳じゃないし……。
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