再会と追憶

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「今日の夜、時間ある?君の歓迎会」 「あッ……。はい。ありがとうございます」 途中までドキドキして聞いていたが、『歓迎会』という言葉に、私は一気に現実にもどされ、無意識にお礼を言っていた。 「じゃあ、また終わったら声かけるから」 そう言われ私は頭を下げると、そそくさと社長の部屋を後にした。 定時を少し回り、どこに何時だろう? そんな事を思っていた私に、目の前の内線がなり慌てて受話器を耳にした。 「加納さん。ごめん、もう少し時間がかかりそうだから、先に出て時間潰してから店に行ってくれる?タクシー使っていいから」 「あっ。はい」 「店はまたメッセージ送っておくから。時間は19時で」 「わかりました」 それだけ答えると私は受話器を置いた。 切ったと同時に送られてきた、店の詳細にチラリと目を向けると、もう少し仕事を片付けようとパソコンに向かった。 18時半になり、会社を出て、もう一度場所を確認するために、社長からのメッセージを開いた。 確かに、駅から離れているようで歩くと徒歩15分ぐらいの距離だった。 タクシー使えって言われたけど、歓迎会にそんなの使えないよね……。 今更だけど、秘書課の人たちも一緒だったはずだよね。 一緒に連れて行ってもらえばよかったな……。
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