思い出はきれいなままで

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「先輩……苦しい……」 「あっ!悪い」 慌てて私を離した先輩と目が合って、お互いクスクスと笑いあった。 どちらからともなく、触れた3度目のキスは甘くて、優しくて、幸せが心を満たした。 「ねえ?なんで名字違うの?」 2人でソファに座り、後ろから抱きしめられていた私は、思い出して疑問を問いかけた。 「ああ……。恥ずかしい話、俺の両親離婚と結婚を繰り返してるんだよ」 「再婚されたんですか?」 「ああ、俺の親父とね。同じ相手と3度目。喧嘩するといつも離婚して、仲直りするとまた籍を入れて……それの繰り返し。お前と会った頃はちょうど離婚していた時期。俺としてはもう名字戻さなくてもって思ってたけど、母親の意地って言うの?今はまた結婚してるよ」 「でも、仲良しなんですね」 苦笑した先輩の言葉に、私も笑みを浮かべた。
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