思い出はきれいなままで

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「何?千香。俺をもてあそぶつもり?結婚する気はないって事?」 「違います!違う!びっくりしただけ。嬉しいから」 私は必死に自分の気持ちを言葉にすると、先輩の手をギュッと握りしめた。 「よかった」 フフッと笑って、私を抱き寄せた先輩があたたくて、私も背中に手を抱きしめた。 「じゃあ、未来の奥さん、まずはもっと愛を深めましょうか?」 ふざけたように言って私を抱き上げた先輩に、私はオタオタと慌てて言葉を探した。 「あっ……え?……えっと……」 なんて言えばいいかわからず、真っ赤になっているだろう顔を隠すように、私は先輩の首にギュッと抱きついて顔を埋めた。 「はい……」 消え入るように言った私の返事に、 「ああ、やっと手に入った。俺の千香。可愛い。すごい……」 そこで言葉を止めた。 「この先の言葉は、これからベッドで言うから覚悟しろよ」 先輩の言葉に、ボンと音がしそうな程私の顔は赤くなってるだろう。 それでもいい。 ようやく本当の答えにたどり着けたのだから。 私は答える代わりに、先輩の唇にキスを落とした。 End.
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