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 閉じた瞼の裏に、ほんのりと光を感じて自分の意識が戻ったことに気が付く。 「なんだろう、何で寝ているんだ」 そう思って、体を動かそうとしたが体という感覚が無く空気と自分が一体化していることに気がつく。自分は何をしていたのだろう、意識が途切れる前は何をしていたのだろう。そもそも、自分は何物なんだろう。にぶく麻痺している頭を動かし、やがて感覚として目を開けた。  そこは、水の底みたいな所だった。隣りにはフワフワと亜麻色の髪が揺れていた。そして、細く綺麗な指が見える。水の中なのに息が出来る。 「女の子か・・・・」 自分の身体を確かめようと視線を動かすと。確かに、制服のYシャツとネクタイがやっぱり水の中でユラユラと揺れていた。 「あゆみ」 そうだ、隣りの女の子はあゆみ。SNSで知り合って、今日初めて出会ったんだった。  1週間くらい前のこと 「フォローありがとう、isseiさん。私あゆみ、リフォロさせて貰いますね」 それが、二人の馴れそめだった。透き通る様な夕方の空をバックに、空を見上げている影をアイコンに使っている彼女に惹かれた。 「俺、今めっさ凹んでて。話し相手が欲しかったんだ」と声を掛けていた。 「そうですか、私はいつも海の底でもがいている感じ。知ってる?人間って死亡率100%なんだよ」 そんなぶっ飛んだ会話を振ってきたあゆみに惹かれていった。
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